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第60回(平成28年度春季)学術講演会 P会場における講演の要旨 (P21-P41)

第60回(平成28年度春季)学術講演会

P会場における講演の要旨 (P21-P41)

 
(P21)TerraSAR-Xデータのスペックルノイズ低減効果の検討
○近藤歩・木村篤史・望月貫一郎(パスコ)

農作物情報の取得を目的とした高分解能衛星TerraSAR-Xデータの、スペックルノイズの低減効果を評価した。Lee, Frost, Gamma MAPの3種類のフィルタを用いて、異なるウィンドウサイズによるスペックルノイズの低減処理を実施した。結果より、9×9のFrostが農作物情報の取得に適している可能性が示された。

(P22)Persistent Scatterer Interferometry for Land Subsidence in Tokyo area
○Kh.Uyanga(ChibaUniv.)

Land subsidence can occur due to several factors such as mining, Earthquake, groundwater pumping, and etc. In earlier 1960s, Tokyo, Japan suffered from subsidence due to the excessive groundwater pumping. Land subsidence can lead to serious damage on human life and structures. In order to monitor land subsidence, the synthetic aperture radar (SAR) interferometry is an effective technique that can be applied to large areas over a long time period. Interferometry techniques process the phase information in SAR images so that it can detect the minor changes on the land with a small scale. Moreover, the persistent scatterer interferometry SAR (PS-InSAR) offers a single dominant scatter in several SAR images. To process the PS-InSAR application, the user requires several (usually more than 10) images in a series of time. In this paper, time series of descending acquisition of ALOS/PALSAR data of Tokyo area, covering 2006 to 2010 were used to analyze the land subsidence. To set the persistent scatter in the images we adopted the Stanford method for persistent scatterers (StaMPS) method. By using this method, we can detect a representative scatterer even in the absence of very bright scatterers using a self-consistent network of persistent scatterer. The StaMPS method will be applied to descending acquisition data. We detected slow surface deformation in Tokyo area using two sets of data, during the study time period. The results from this interferometric study can be used to help mitigate the environmental impacts and potential consequences of land subsidence in the study area

(P23)複数干渉SARによる地盤沈下の長期モニタリング-青森・津軽平野の解析を例として-
○宮下智一(日本大学大学院)・中山裕則(日本大学)

本論において、我々は、1990年代から現在までの約20年間の、JERS-1/SARとALOS/PALSARとALOS2/PALSAR2データによる干渉SAR解析の結果を示している。解析結果によると、累積した沈下は、PALSARの約4年間で約360mm、JSARの約6年間で約200mmであると示された。さらに、平均沈下速度として、60mm/yearという値が得られた。これらのことから、本研究では、津軽平野において、1990年代から現在まで、継続して地盤沈下が生じているということが示され、複数SARによる長期的な干渉SAR解析の有効性が示された。

(P24)地中浅層域探査を目的とした地中レーダ計測の適用
○松本正芳・稲見麻央・吉村充則(株式会社パスコ)

社会インフラの老朽化が深刻になりつつあり、それらの健全性を評価するための効率的なモニタリング手法の開発が急務となっている。最も重要な社会インフラの一つである道路では、路面下数mにはインフラ設備のほか、空洞が複雑に存在している。このような深さ数m程度の地中浅層域探査においては地中レーダ(GPR)計測が有効である。本報告では、異なる深さに地中アノマリを埋設した試験サイトにてGPR計測を行った。その結果、深さ200cmの位置に埋設された地中アノマリを検知することができた。さらに、深さ20cmの位置に埋設された地中アノマリについては、実際のEPS材の表面形状を反映した輪郭が水平断面画像で確認できた。

(P25)航空機LiDARを用いた都市空間における樹木の三次元情報の計量化 その8 街路樹から生じる夜間冷気の暑熱緩和効果の解析
○押尾晴樹・浅輪貴史・清野友規・石丸智貴(東工大)

航空機LiDARにより推定した葉面積密度分布を用い、夜間に樹木から生成される冷気の暑熱緩和効果を解析した。長波放射の授受の計算と数値流体力学シミュレーションにより気温と風速の分布を求めた。樹木と建物の配置や形態により風が弱くなる領域には、樹冠で生成された冷気が樹冠の下に下降して溜まり、外部よりも0.7℃程度気温が低い空間が形成された。

(P26)高密度気温観測データとの比較を通じた透水面分布の空間特性の分析
○岩田健太郎・植松恒・熊谷樹一郎(摂南大)

ヒートアイランド現象の緩和策として都市内に残された緑地などの透水面の活用が期待されている.透水面は蒸発散機能を有しており,透水面分布が空間的に連なることで周辺市街地への気温の低減効果が高まるとの指摘もある.一方で,高密度で観測された気温データを用いることで透水面分布の連なりが有する気温の低減効果を把握できる可能性がある.本研究では,衛星データから透水面率を推定し,推定結果を空間分析手法へ適用して透水面分布の空間的な連なりを抽出した.さらに,データロガー付温湿度計を用いて高密度な気温の現地計測を実施し,得られた気温データを用いて透水面分布の連なりが有する気温の低減効果について分析した.

(P27)ASTER/TIR画像による油膜の厚さ及び温度の同時推定の試み(2)
○高橋有真・外岡秀行(茨城大)

リモートセンシングによる海洋の油汚染観測では様々なセンサが利用されているが、熱赤外センサは表面温度に基づく油検出が可能であるほか、油膜の厚さが推定できる可能性がある。前報では、松井ら(1974)による油汚染水面の放射温度モデルに基づいてASTER/TIR画像から油膜厚さ、油面温度、油下水面温度を同時推定する手法を考案し、解の収束性を評価した。本報では、まず本手法の適用条件を明らかにし、より安定的に解を得るための改良を行った。そして、2010年メキシコ湾原油流出事故の際のASTER/TIR画像から油膜厚さ画像を生成し、油流出量の推定を行った。

(P28)日立LNG基地におけるASTER/TIR画像を用いた遺伝的アルゴリズムによる熱異常解析
○田川博務・外岡秀行(茨城大)

衛星データからの熱異常検出では、様々な因子が精度に影響を及ぼす。前報では、こうした因子の一つとして熱異常の画素内位置に着目し、シミュレーションベースの評価を行った。そして、検出精度の向上のためには、サブピクセルでのずれ量を考慮した手法が必要であることを述べた。本報では、日立LNG基地(茨城県日立市)のフレアスタックを観測したASTER/TIR画像を使用し、熱異常モデルにおける各カテゴリの温度及び位置ずれ量の最適解を遺伝的アルゴリズムによって求めた。そして、得られたモデルに基づき、画素内位置と観測輝度値の関係を評価し、サブピクセルでのずれ量を考慮した熱異常検出手法の必要性を改めて示した。

(P29)10~13μm帯におけるTerra/MODIS及びAqua/MODIS間の相互校正の試み(2)
] ○菅宮岳・外岡秀行(茨城大)

Terra/MODISとAqua/MODISでは3時間の観測時差があるため、10~13μm帯の直接的な相互校正は難しい。そこで前報では、MTSAT-2/Imagerを媒介することで両MODISのBand 31及び32について間接的相互校正を行った(期間:2014年9~12月)。今回は校正データの追加、観測角補正の導入、ひまわり8号AHIの一部使用により確度を高めたうえで、Band 31の相互校正を再実施した。その結果、2014年9月~2015年12月の期間において両MODISのBand 31の輝度は整合していることを確認した。また相互校正誤差の要因として大気状態の違いがあることを指摘した。

(P30)GOES-14/ImagerによるALOS-2/CIRCの相互校正結果
○朝木萌奈・外岡秀行(茨城大)

熱赤外カメラCIRCは、校正装置を持たないため、打ち上げ後は代替校正や相互校正が必要である。本研究では、GOES-14/ImagerによってCIRCの相互校正を行った。まず、相互校正に影響を与え得る複数の因子について影響評価を行った。次に、3つの期間に分けてCIRC放射輝度とGOES-14による放射輝度を比較し、CIRCのオフセットが経時変動していることを確認した。今回の結果は、特に校正データが不足しているミッション初期におけるCIRCの挙動解析において有効だと考えられる。なお、Himawari-8を用いた結果との間に約1.8℃のバイアスが見られたため、今後、原因究明を行う予定である。

(P31)ひまわり8号/AHI及びTERRA/ASTER熱赤外データの比較
○内田裕貴(日本大学生産工学部)・奥山健志(日本大学大学院)・岩下圭之・杉村俊郎(日本大学生産工学部)

次世代静止気象衛星「ひまわり8号」に搭載されたセンサAHIの観測波長帯数は16であり、その内の6バンドが地上分解能2kmで8~13μの波長帯域に設定されている。気象庁からは観測値を輝度温度に変換するための変換式および変換係数が提供されている。一方1999年に打ち上げられたTERRA/ASTERは校正地表面温度情報の提供が行われている。本研究は、「ひまわり8号」による地球表面温度をTERRA/ASTERによる温度情報と比較し、その特性と推定値の違い等について考察したものである。

(P32)ひまわり8号/AHIによる東京と上海の熱環境の比較
○奥山健志(日本大学大学院)・内田裕貴・岩下圭之・杉村俊郎(日本大学)

定常運用が開始された次世代静止気象衛星「ひまわり8号」に搭載されたセンサAHIは、観測波長帯数、空間分解能、観測時間間隔において機能が向上している。特に地表面温度情報と地上分解能の向上から、気象情報の観測のみならず多くの分野での利用が期待されている。本研究では、「ひまわり8号」が観測した都市の温度情報から、高温域の分布および地表面温度の日変化の特徴について、上海と東京を比較して調査した。

(P33)ひまわり8号を使った水中の懸濁物質濃度推定の検討
○戸塚秀則・虎谷充浩(東海大学)

ひまわり8号のデータに海色用の近赤外域3波長を用いて懸濁物質を推定するアルゴリズムの妥当性の検討を行った。ひまわり8号のデータから懸濁物質濃度を推定し、地上観測の濁度のデータと比較を行った。

(P34)携帯型分光計搭載UAVを用いた東郷池の非接触クロロフィル測定実験-2015年9月-
○作野裕司・加藤光(広島大学)・前田晃宏・宮本康・森明寛・岡本将揮(鳥取県衛生環境研究所)

東郷池はシジミに代表される内水面漁業資源の宝庫であるが,近年アオコや水生植物の大発生などで問題となっている.リモートセンシング(RS)による水質モニターは安価な時空間モニタリング手法として,実利用が期待されている.そこで筆者らは,雲下の低空からイベント時にも即時観測可能で,近年発展がめざましいドローンを使ったモニタリング手法を検討している.そこで,筆者らは,UAVに分光放射計を取りつけて,非接触でクロロフィルa(Chla)の横断プロファイルを測定するシステムの開発を着眼した.本発表は,実際にUAVと同期した河口域の水質調査を行った結果を踏まえた成果を報告する.

(P35)ひまわり8号連続観測データを使った画質の向上について
○杉村俊郎・内田裕貴・青山定敬・朝香智仁(日本大学生産工学部)

次世代静止気象衛星「ひまわり8号」の観測時間は、全球の場合30分から10分に短縮された。特に日本域等特定の領域は2分半毎に観測されている。連続観測された画像は対象を複数のフレームで撮影していることになり画質の改善が可能と思われる。本研究は、連続観測された画像間の位置ずれを自動探索し、高解像度化および髙画質化について検討、調査したものである。

(P36)ALOS PALSARのInSARによるDEMの特性
○野中崇志・朝香智仁・岩下圭之(日大)・大串文誉(ExelisVIS)

災害時の合成開口レーダの活用を検討する際に,センサの基本仕様(波長,観測頻度, 入射角)や手法の特性の把握等が必要である。本研究ではALOS PALSARデータを用いて,つくば市をテストサイトにInSAR解析を行い, コヒーレンスやDEMのRMS誤差の評価を行った。その結果, 2πあたりの高度に対する誤差の割合が4%程度であることを明らかにした。

(P37)Preliminary study on monitoring vegetation height using L-band ALOS/PALSAR-2 data in river scale
○IGDY.Partama,A.Kanno,M.Sekine(YamaguchiUniversity)

PALSAR-2 data with high spatial and temporal resolution provided the new opportunities for the operational monitoring of vegetation parameters in river scale. The aim of this study was to asses the ability of PALSAR-2 data to discriminate the height of canopy. The sensitivity of L-band SAR signal to the canopy height has been studied for two different locations of sandbar in Saba river. The linear regression analysis was performed to know the correlation between canopy height and radar backscattering value. Canopy height model (CHM) was performed using SfM-Photogrammetry technique with high spatial resolution and high accuracy. The results shows that the coefficient of determination were small for both of site, it represent the sensitivity of radar signal to asses the canopy height was small. L-band SAR data was not appropriate to monitoring the short vegetation such as grasses with the height is less than 1.5 m due to the long wavelength of L-band is better to penetrated into tall vegetation, otherwise can not be scattered by small vegetation. The sensitivity of radar signal is also depend on the structure of the vegetation, such as stems, leaves, and crown structure. In Saba river vegetation on sandbar were dominated with small grass with conifers leaves, these structure are more sensitive with vertical polarization (HV) than horizontal polarization (HH).

(P38)クロストラック干渉SARによる高度計測に関する一考察
○灘井章嗣(NICT)

合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar: SAR)により広範囲にわたる高度情報を取得する手法として、クロストラック干渉SAR (XTI SAR)が開発されてきた。クロストラック干渉SARでは、SARプラットフォームの進行方向(トラック)に直交する方向に複数のアンテナを設置し、同一のターゲットが散乱した信号間の位相差から、ターゲットからアンテナまでの距離差を波長オーダーの高精度で計測し、高度情報を抽出する。従来の高度情報抽出手法ではターゲットの高度によって変化するオフナディア角を用いる必要があるが、オフナディア角はSAR単体では計測できないため、高度基準面上に置いた仮想ターゲットに対するオフナディアアングルを用いており、このオフナディアアングルの差が誤差の原因となりうる。本研究では、従来手法においてターゲット高度によるオフナディアアングルの変化が高度計測に与える影響について検討し、航空機XTI SARにおいては大きな誤差の原因となることを示した。

(P39)橋梁を対象としたALOS/PALSARのコヒーレンス解析
◯朝香智仁・野中崇志・岩下圭之・杉村俊郎(日本大学生産工学部)

一般的に,L-bandはC-bandやX-bandよりも干渉性が高いことが知られているが,土木構造物をPS点として考察した事例についてはあまり報告されていない。本研究では,ALOS/PALSARによる観測において,土木構造物である橋梁がPS点としてどの程度有効であるかを検証するため,ALOS/PALSARデータから得られるコヒーレンス値について考察することを目的とした。10組のInSARのペアを解析した結果,斜張橋の主塔部分のような構造物は有用なPS点となり得ることがわかった。

(P40)Pi-SAR-L2の多偏波散乱係数を用いた津波被害区分の可能性
○小荒井衛(茨城大学)・中埜貴元(国土地理院)

東北地方太平洋沖地震後の仙台平野をPiSAR-L2で観測したデータを持いて、散乱強度の特性から津波被害度の区分が可能かどうかの検討を行った。津波の被害度は、小荒井ほか(2011)の手法で、写真判読により津波の被害の大きな方から、ランク1(流失域)、ランク2(破壊域)、ランク3(浸水域)に分けた。その被害ランク毎のポリゴンデータとPiSAR-L2データとを重ね合わせ、被害ランク毎の散乱強度ヒストグラムと土地利用ごとの散乱強度ヒストグラムを作成した。

(P41)2015年ネパールGorkha地震における斜面崩壊域の抽出
土田理彩子・○リュウウェン・山崎文雄(千葉大)

2015年4月25日ネパールのGorkha付近でMw7.8の地震が発生した。本研究は,災害前後に得られたPALSAR-2画像を用いて,斜面崩壊域の後方散乱特性を把握する.また,Landsat-8画像より斜面崩壊域を抽出し,これと比較することで,合成開口レーダ(SAR)画像による斜面崩壊域の抽出の可能性と精度を検討する.