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第60回(平成28年度春季)学術講演会 B会場における講演の要旨

第60回(平成28年度春季)学術講演会

B会場における講演の要旨

(B01)アマゾンにおけるGOSAT CAIデータを用いた新雲識別アルゴリズムの初期精度評価
○大石優(東海大)・石田春磨(気象研)・中島孝(東海大)

温室効果ガス観測技術衛星2号(GOSAT-2)に搭載される雲・エアロソルセンサ2型(CAI-2)を用いた雲識別には,GOSATで用いている雲識別アルゴリズムCloud and Aerosol Unbiased Decision Intellectual Algorithm(CLAUDIA),またはCLAUDIAに教師付き学習による多変量解析手法を応用した新たなアルゴリズムの利用が検討されている。現在,新アルゴリズムについては改良段階で,教師データの収集と旧アルゴリズムや目視判読との比較による検証を行っている。本研究ではアマゾンにおいてGOSAT CAIデータを用いた初期精度評価を行った。

(B02)衛星画像を用いた地表面反射率と大気光学的厚さの同時推定法の改良
○飯倉善和(弘前大学)・眞子直弘・久世宏明(CEReS)

我々はエアロゾルの時間的・空間的変動を地表面反射率と同時に推定する方法を提案している。本論文では、同時推定法を前処理、反復処理、後処理の3段階に分割することにより、処理のモジュール化をはかり見通しのよいものにする。さらに反復処理に置ける収束性について検討する。また、波長やエアロゾルタイプによるエアロゾルの推定結果の違いを紹介する。

(B03)対流圏エアロゾルの地上サンプリングデータと光学特性の関係
○久世宏明(千葉大学CEReS)・NofelLagrosas(ManilaObservatory)・JamrudAminuddin(千葉大CEReS)・眞子直弘(千葉大学CEReS)

対流圏エアロゾルについて、地上サンプリングによって得られる質量濃度、散乱係数などの測定値と、気象視程やサンフォトメータなどリモートセンシング計測によって得られる視程や光学的厚さデータを比較し、両者の間の換算には吸湿性エアロゾルに対する湿度の影響を考慮することが重要であることを議論する。

(B04)L-band地上設置型レーダ4偏波校正と、樹木背後からのレーダ信号
○渡辺学(東京電機大学)・本岡毅(JAXA)・R.B.Thapa・鈴木新一(JAXA)・島田政信(東京電機大学)

地上設置型レーダの4偏波校正結果と、木の後ろに置いたコーナー反射鏡の4偏波散乱特性について報告する。

(B05)円偏波フルポラリメトリック合成開口レーダの標準リフレクタを用いた直線インバースSAR実験
○泉佑太・D.Shevket・M.Z.Baharuddin・楊熙仁・J.T.S.Sumantyo(千葉大CEReS)

フルポラリメトリック可能な円偏波合成開口レーダ(CP-SAR)について,実験とその実験により得られたSAR画像について述べる.実験はベクトルネットワークアナライザ(VNA)と円偏波アンテナを用いて電波暗室にて直線インバースSAR方式で実施した.実験結果であるSAR画像から散乱行列を抽出し,その散乱行列から偏波シグネチャを作成した.

(B06)高精度リピートフライトによる地表面の微小変化抽出 - CCD観測の実現性検討 -
○児島正一郎・松岡建志(NICT)・山田寛喜(新潟大学)・小林達治・梅原俊彦・上本純平(NICT)

NICTは、高精度に飛行制御を行うことができるリピートフライトナビゲーション(RF-NAVI)システムを開発した。本研究は、RF-NAVIの飛行制御精度を明らかにするとともに、RF-NAVIを用いてPi-SAR2のリピートフライトを実施した際の位相変化抽出(CCD)の有用性とその精度を明らかにすることを目的としている。RF-NAVIの飛行精度検証の結果、RF-NAVIは航空機を予定している飛行コースに対して径31mのチューブ内で運航させることに成功した。また、RF-NAVIを用いたCCD観測の検証実験を実施した結果、人が芝生の上を走った跡を抽出することに成功した。

(B07)ALOS-2の時系列干渉SAR解析(SBAS)を用いた微小な地表変位抽出の試行
○三五大輔・森田保成・草野駿一・柴山卓史・吉川和男(株式会社パスコ)

2014年5月に打ち上げられたALOS-2は、観測に用いる波長帯(L-band)の特徴から、高い干渉性が期待される一方で、微小変位に対する計測感度が低い特性があると考えられていた。しかし、既往の研究では、ALOS-2はその高い干渉性のために、より波長が短いC-bandやX-bandと同等のミリオーダーの微小変位や計測精度が得られることが報告されている。1)そこで、本論はALOS-2の時系列干渉SAR解析(SBAS法)を用いて、東京の地盤沈下モニタリングを試行し、水準測量の成果と比較した結果を報告する。

(B08)InSAR時系列解析における推定精度を考慮したピクセル毎の基線長閾値の選定法
○石塚師也(深田研)・辻健(九大・I2CNER/九大・工学部)・松岡俊文(深田研/京都大)

InSAR時系列解析は、地盤沈下や地すべり、地震・火山等の時間的に継続して起こる微小な地表変動量の推定に有効性を示している。InSAR時系列解析において干渉ペアを選ぶ代表的な方法は、垂直基線長および時間基線長に対して閾値を設け、この閾値を満たす干渉ペアを選定する方法が知られている。一般的に、この閾値は全ピクセルで一定とするが、散乱特性によって最適な閾値は異なると考えられる。このため、本研究では、地表変動量の推定精度を考慮し、ピクセルごとに最適な基線長の閾値を推定する手法を開発した。開発した手法をオハアキ地熱開発地域に適用した結果、従来の手法よりも明瞭に地表変動の空間分布を推定することに成功した。

(B09)植生の分布状態の地域性に応じた空間分析の試み
○松田優花・植松恒(摂南大学大学院)・熊谷樹一郎(摂南大学)

多極ネットワーク型コンパクトシティへの移行を推進する上で,オープンスペースの一部を成す緑地の分布状態を広範囲から定量的に把握することが望まれている.我々は衛星データに空間的自己相関分析を応用することで植生分布の空間的な連なりを定量的に把握する手法を開発してきた.一方で,植生分布の集積状態は都心部や郊外部といった地域ごとで異なっている.オープンスペースについて戦略的な計画を策定していくには地域の土地利用状態に応じた植生分布の空間特性の把握が望まれる.そこで本研究では,空間的自己相関分析を段階的に実施することで,植生の分布状態の地域性に応じた空間的な連なりの抽出方法を検討した.

(B10)Cloud-free satellite data mosaics with a histogram matching model and modified neighborhood similar pixel interpolator approach
○TranThanhDan・小川進(工学研究科,長崎大学)

Optical satellite imagery has a limitation by cloudiness. Therefore, a new method for developing cloud-free imagery with a finer was adopted. The objective of this study was to use a new method for removing clouds based on histogram matching to adjacent scenes on different dates. It then applied a modified neighborhood similar pixel interpolator (NSPI) approach. The results showed that the modified NSPI approach could greatly reduce clouds, especially thick clouds, and reflectance restored was more accurate. Consequently, this proposed method can support large volume processing to distribute cloud-free imagery.

(B11)An empirical forest landscape simulator for driving 3-D canopy radiative transfer models
○楊偉(千葉大学)・小林秀樹(海洋研究開発機構)

Satellite remote sensing is currently the only feasible technique to monitor global forests status at large scale over long periods. For such monitoring, 3-D canopy radiative transfer models are needed to construct the remote sensing algorithms. On the other hand, in order to run 3-D canopy radiative transfer models, the forest landscape information should be provided. It is overwhelmingly time-consuming to measure the forest landscape in traditional inventories, and it is almost impossible to collect all the information for the global forests. Consequently, the objective of this study is to develop a forest landscape simulator for generating different types of forests, as a crucial input for the radiative transfer models. This simulator is based on the statistical distribution of tree height and tree locations. The tree architectures are determined according to the allometric equations. Typical forest landscapes are generated for boreal and tropical forests. The simulator yields reasonable results. And it will be used to estimate global LAI in the future studies.

(B12)ドローンによる棚田の精密測量と水収支推定
○小川進・ダン・トランタン・今村洋一(長崎大学工学研究科)

Accurate field survey was carried out for Onigi rice terrace by drone and IR images were obtained by an attached IR filters for NDVI, soil moisture, water quality, and water budget. IR filters are transparent more than 720nm and 900 nm, respectively. At the same time, accurate DEM was made by PhotoScan Pro.

(B13)酸素Aバンドを利用したクロロフィル蛍光の分光画像計測:水田・森林への応用
○栗山健二(静大工)・眞子直弘(千葉大CEReS)・本間香貴(東北大農)・村松加奈子(奈良女子大)・吉村謙一・小南裕志(森林総研)・久世宏明(千葉大学CEReS)

GOSATなど高分解FTIRを搭載した衛星観測により,地上植生からの蛍光が観測可能であることが報告されている。地上計測ではUAVや圃場上空に設置したクレーンをプラットフォームとして用いた植物蛍光計測法が提案されている。我々は地上でのリモートセンシング計測により、野外の群落レベルで活用可能な植物蛍光計測法を開発している。光学望遠鏡、小型CCD分光器、および冷却CCDカメラと狭帯域フィルタを用いた植物蛍光の遠隔計測システム開発の一環として、ここでは実験室において行ったLED光源を用いた植物葉の照射実験について報告する。さらに、開発したスタンドオフ計測システムを利用し、屋外のイネと森林を対象として数10
mの距離から行った太陽光励起蛍光観測法の結果について報告する。

(B14)航空機搭載型測深LiDARのWaveformによる海草藻場の検出
○酒井徹(NIES)・石黒聡士(愛工大)・山田勝雅(水研センター)・小熊宏之・山野博哉・松永恒雄(NIES)

海藻・海草の群落である藻場は、「海の森」として物質循環・生物の共存・環境保全に対して重要な役割を果たしている。本研究では、藻場・砂場で測定した測深LiDARのWaveformの特徴を明らかにすることで、藻場の検出を試みた。砂場の反射強度は水深が深くなるに従って低下した。一方、藻場は比較的浅い水深に分布していたが、反射強度は大きくばらついた。藻の密度が高いところで低い反射強度を示した。また、藻の密度が高いところでは、パルスが海底面まで到達することができなかったため、草丈等の推定は困難であった。しかし、反射強度の大きさから藻場の密度を概ね把握することが可能であった。

(B15)Landsat-8データを用いたノリ養殖場における水温およびクロロフィルa濃度推定
○若槻良介・作野裕司(広島大学)

伊勢湾の南東部に位置する三河湾は,ノリ養殖を始めとした水産資源の豊富な水域である.しかし近年,ノリの色落ち等の被害が頻発しており,適切な養殖場管理が求められている.その中でも,養殖場まわりの水温・水質モニターも期待されている管理項目の一つである.一方,2013年2月に高解像度,高量子化のセンサを搭載するLandsat-8が打ち上げられた.そこで筆者らは,養殖場管理に利用できる可能性がある表面水温(Sea
Surface Temperature,SST)・クロロフィルa濃度(Chl.a) のLandsat-8データを用いた推定法を検討し精度評価を行った.その結果,三河湾ではSSTは1.4℃,Chl-aは2.2μg/Lの精度とそれぞれ見積もられた.

(B16)光学ファイババンドルを用いたハイパースペクトル画像センサによる沿岸域分類
○宇都有昭・関晴之・齋藤元也・小杉幸夫(東工大)・小松輝久(東大)

本研究では,光学ファイババンドル,スイングミラー,小型軽量分光器で構成されるwhiskbroomハイパースペクトル画像センサをUAVに搭載し,伊豆大島北岸の空撮HS取得 を実施した.相互相関に基づくパターンマッチングにより,計測HS画像を4つのクラス(テングサ,サンゴモ,岩肌,砂)に分類した.

(B17)分光センサーを利用した水中画像の色補正手法に関する研究
○稲葉祥梧(NMRI)・B.Thornton・巻俊宏(東大生研)

海底資源を探査するツールとして、近年様々なAUV(Autonomous Underwater Vehicle)が開発されている。AUVによるミッションの1つに海底面の画像観測があるが、現状では海底面に非常に接近した状態での観測が行われている。これは水中という環境故に、距離に応じて被写体の色が大きく変化してしまうためである。また、現状では本来の色を再現する補正作業は人力に頼る部分が多く、正確な色補正を実施する事が困難であった。そこで本研究では海底面画像観測における水中画像の色補正手法に着目し、従来に比べより高精度に画像の色補正が可能になる補正式を提案し、補正式に必要なパラメーターを計測する手法を考案、さらに実験によってその有効性を確認した。

(B18)Research Progress on Synthetic Aperture Radar for Aircraft and Microsatellite
○J.T.SriSumantyo,N.Imura(ChibaUniv.)

This paper introduces the progress research on synthetic aperture radar (SAR) development for unmanned aerial vehicle (UAV) and Aircraft on C and X bands, and microsatellite on L band. This sensor will be employed for basic research and monitoring global land deformation.

(B19)GPUの小容量シェアードメモリを用いた位相限定相関法の並列化手法の提案
◯八鍬杏平・中村和樹・若林裕之(日本大学)

本報告では、逐次処理と並列処理を組み合わせることで64より大きなウィンドウを用いた位相限定相関法による流速推定処理をGPUを用いて行うことが可能な手法を提案した。その結果、並列度の向上によって処理速度の改善が認められたが、処理速度を改善には、変数型を変更することによる更なる並列度の向上が必要であることが分かった。

(B20)小型UAV搭載用可視近赤外デュアルカメラシステムの開発
◯照井敬晶・中村和樹・若林裕之(日本大学)

低コストで小型UAVに搭載可能であり、可視画像と近赤外画像を同時に撮影可能なデュアルカメラシステムを構築した。デュアルカメラシステムの取得情報の解析を行うため、Inspire1(DJI社)にシステムを搭載し、可視画像および近赤外画像を取得した。その結果、可視画像と近赤外画像のモザイク画像における位置情報の誤差は約1mであった。また、50mで撮影する場合、オーバーラップ率が90%におけるDSM画像でRMSEが約1mとなった。このことから、デュアルカメラシステムの有効性を示すことができたと考えられる。

(B21)簡便なステレオカメラシステムを用いた文化財の寸法測定に関する実験的研究
○橋本岳・小野友輔(静岡大学)

近年,3次元画像計測は多くの分野で使用され,我々は防災への応用に関する研究を行っている。本論文では市販カメラを用いた簡単なステレオカメラで,文化財の計測を行った結果を報告する。具体的な計測対象として,神社の鳥居を計測した。鳥居は多数存在し地域住民の記憶に深く刻まれており,災害後の復興のシンボルとなりえる。しかし,建設が古く設計図なども残されていないことが多い。これらのことから,画像とともにサイズ等の数値が必要とされる。計測実験の結果,移動型レーザースキャナーと同程度のセンチメートル単位の計測を確認できた。

(B22)WorldView-3衛星画像の位置精度検証
○市川真弓・筒井健((株)NTTデータ)・早坂寿人・瀧繁幸・山田美隆・大野裕幸(国土地理院)

WorldView-3衛星の単画像ならびにステレオペア画像の位置精度を検証するとともに、幾何特性を調査して、画像位置の補正方法を検討した。対象エリアは神奈川県三浦半島と茨城県筑波山周辺の2か所である。RPCに基づく評定計算結果とGCPを比較して、水平精度と垂直精度を評価した。位置精度は、GCP3点以上を用いたアフィンモデルで補正した場合、水平約0.3-0.4m、垂直約0.15m(RMSE)であった。更に、センサライン方向に二次の補正項を追加した場合、水平・垂直ともに約0.15m(RMSE)の位置精度であった。