会長挨拶

会長挨拶

(一社)日本リモートセンシング学会
会長 粟屋善雄

会長挨拶 この度、平成28年5月12日の定時総会で理事に選任され、引き続いて行われた理事会で会長に選任されました粟屋善雄です。これからの2年間、日本リモートセンシング学会の発展に微力ながら尽くしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

当学会が1981年に発足してから36年目を迎えています。発足したのは埼玉県鳩山に宇宙開発事業団(当時、現 宇宙航空研究開発機構)のランドサットの受信局が建設(1978年)されて間もない頃で、リモートセンシングに勢いがあった時代でした。その後、様々な衛星センサが開発されてセンサは高度化し、商業利用の時代を迎えています。しかし、統計によれば日本の宇宙産業は1990年代に比べて現在は産業規模が小さくなって、衛星リモートセンシングはやや勢いを失っています。一方、大規模な災害については、衛星や航空機のデータを活用して早期に被害が把握されるようになり、リモートセンシングへのニーズは高まっているようです。さらに近年のドローンの普及はめざましくて個人ユーザが増加しており、災害の現場に限らず様々なシチュエーションで利用されて、パーソナルリモセンとでも呼べるセンシングの時代が到来したように感じます。

これまでを振り返りますと、久世前会長が勤められた2年間で幾つかの主要な懸案事項は解決されました。一方、会員数の増加や学会誌への投稿論文数の増加などの学会の活性化が長年の課題として残されています。このような現状を踏まえて、この2年間に取り組もうと考えている活動について述べたいと思います。第1にこれまでの理事会が取り組んできた学会の活性化を継承したいと思います。衛星観測からドローン観測、そして地上観測までをリモートセンシンシングと考えれば、リモートセンシングの裾野は確実に広がっています。今日では、ドローンをリモートセンシングであると意識していないと思われるユーザが、様々な分野で学術研究に利用しています。このようなユーザと当学会との接点を設けることによって、日本リモートセンシング学会が広く認知され、新たな研究の創出や会員数の増加に繋がると考えられます。第2に学会誌と学術講演会の連携を深めたいと思います。現在、編集委員会では特集を組むことによって論文の充実を図っていますが、特集号の編集には新しい企画を出し続ける必要があります。一方、学術講演会では時事的なトピックの講演が集中することがありますが、特別セッションを企画して学術講演会の終了後に学会誌で小特集を組むことも考えられます。学会の活性化には学会誌と講演会をリンクさせる工夫が大切だと思います。第3にこれまで培ってきた韓国リモートセンシング学会と台湾写真測量リモートセンシング学会との交流を発展させたいと思います。来年5月には名古屋大学でInternational Symposium on Remote Sensing (ISRS)が開催されます。主催者の名古屋大学・山口靖教授や関係者の方々にはご苦労をおかけしますが、学会としても全力で支援してISRSの発展に貢献していきたいと思います。第4に実利用をさらに促進できるようにアイデアを集めていきたいと思います。日本リモートセンシング学会では実利用委員会を立ち上げて、実利用の事例について学会発表を促し、学会として実利用事業の実施にも力を入れてきました。近年は災害時のリモートセンシングの活用や森林のような陸域生物資源でリモートセンシングを利用した事例が増えています。適切な季節(時期)のデータが得られないこと、精度の高い前処理が困難だったことが実利用への大きな壁だったと思います。このような壁を学会員の協力を得て解決できれば、数多くの衛星センサが地球を観測している今日では実利用の分野を拡大できるのではないでしょうか。

最後になりますが、より良い学会を目指すには、学会の運営に会員の意見を反映させることが大切です。日本リモートセンシング学会の発展のために会員の皆様の声を尊重し、ご協力を得て共に歩んでいきたいと思います。