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会長挨拶

(一社)日本リモートセンシング学会
 会長 若林 裕之

この度、令和4年5月18日の定時総会で理事に選任され、その後の理事会にて会長に選任されました。1981年に設立してから昨年40周年を迎えた日本リモートセンシング学会の20人目の会長ということで、大変光栄に思うと同時にその重責に身の引き締まる思いです。林田前会長の後を引継ぎ、日本リモートセンシング学会の発展のために少しでも貢献していきたいと思っています。2年前から継続している感染症対策必須の学会運営については、いまだに収束が見えていない状況が続いています。そのような厳しい状況の中での学会活動のために打開策を考え実行された林田前会長、担当理事、事務局、そして会員の皆様方に改めて深く敬意を表したいと思います。 

林田前会長から学会の要検討事項について引継ぎを受けましたが、その中でも、学術講演会および学会誌の発展とその実質的な検討を行うDX活動が最重要課題と認識しています。感染症対策のためのDX推進で周辺技術が進み、オンラインでの学会や会議が日常茶飯事のようになっています。学術講演会を例にとると、感染症対策としてこれまで開発されてきたオンラインツールのおかげで、学術講演会のオンライン開催は技術的には問題無くできるようになっています。学術講演会の目的が学会発表レベルのリモートセンシング技術の情報交換だけであれば、オンライン発表および視聴で良い感じがしますし、その便利さに満足し学会出張にかかる時間や費用が節約できて良いという会員もいると思います。しかし、従来の学術講演会と比較すると、何かが不足していると感じるのではないでしょうか。2021年度福島市で開催されたハイブリッド型式の学術講演会を良い例として、少しでもオンサイトでの参加者を増やす方向を模索していきたいと思います。

40周年を迎える学会の将来像を見据えて示された、「日本リモートセンシング学会の価値創造」「しなやかな学会運営」「若手の活躍の場の創出」という3つの柱についても、継続して力を注ぎたいと思います。多様なプラットフォームで取得したリモートセンシングデータに関連する技術を広く認知していただくための普及活動を進めていき、多方面の広い年齢層の学会認知度を向上させていきたいと思います。学会運営については、感染症対策の例のようにその時その時の柔軟な対応と同時に長期的戦略の運営を検討し、関連する学術団体との連携も視野に入れたいと思います。楽観的かもしれませんが、若手が興味を持つ研究や技術に関連する学会であれば自ずから若手が増えると考えられ、学術講演会や学会誌における普及活動も重要になるでしょう。

私が始めて「リモートセンシング」という言葉を知ったのは、宇宙開発事業団(NASDA)の新人研修の時でした。学生の時にディジタルフィルタによるVLSI上の信号解析を行っていたので、信号解析に関連する業務に興味がありました。研修期間中の各部署業務紹介でリモートセンシングに関連する技術を知り、「何か面白そうだな」と思ったのを鮮明に覚えています。その後のNASDA在職中の大部分はリモートセンシングに関連する部署を経験し、海外研修制度で滞在したアラスカ大学フェアバンクス校では、SAR実データを使用した応用研究にも携わることができました。覚えたばかりのC言語で作成したプログラムでJERS-1 SARの生データから画像が再生された時の興奮は忘れることができません。私にとってリモートセンシングの魅力は今までつきることがありませんでしたし、このワクワク感を皆様と共有したいと思っています。

私の任期の2年間についても、従来の学会運営とは異なるやり方を模索していく必要があると思います。無事に乗り切れるかどうか不安ではありますが、精一杯頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。